思考の散歩道

散歩好き音楽ディレクターの日記

「あなたに」Crazy Director Recording Diary 08

ドラムの録音は1日目に、5曲すべて終了していましたので、2日目は午前中にPVを2曲撮影させていただき、すべてが終了となりました。


いやぁ、かっこよかったです。

「熱視線」のドラムのプレイを面白いアングルで撮影できたことは、とても楽しかった。

 

そして関さん自身が美穂さんの「今」を映し出しているとコメントいただいた「Truth」も、しっとりといいムードで撮影できました。


ほんの1時間だけ撮影におつきあいいただき、ドラムは撤収です。それと入れ違いに、Percussionの竹本一匹さんのセッティングがはじまりました。

 

まず、Percussionの様々な楽器、スタンド類、などをスタジオの所定の場所においた段階で、一匹さんには一休みしてもらいます。お弁当用意してあるので、食べておいてね。

 

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12:30 〜 「あなたに」


Vo.森川美穂 Gut Guitar 河野充生 Piano 野﨑洋一


この日、河野さんは夜ライブの本番がはいっています。なので15時前にはスタジオを出ていかないとなりません。

午前は2曲PVにおつきあいいただき、そして「あなたに」では、ガットギターを弾いてもらいました。


実は、ぼくが河野さんのギターの腕に気がついていたのは、2年前に遡ります。この2年まえに、このスタジオで、河野さんのアレンジで12曲録音をしました。

 

その一連の流れの中で、アレンジの確認でギターを弾いているところを、数度目撃していたのですが、その演奏がとてもスムーズに聴こえたのです。


もちろん専門楽器はベースですが、リズムがよくてこれだけグルーヴィーな演奏ができる人は、ギターも弾けるのだろうなと思いました。


この「あなたに」は、とてもシンプルな編成でレコーディングします。それもピアノは、かなり控えめにアプローチしてもらいます。ガットギターも、とてもシンプルに弾いてもらいます。


この曲は、このアルバムのシンプルさの象徴です。バンマスでもある河野さんに、この曲のギターを弾いてほしいとお願いしました。

 

こういうアプローチこそがバンドではないかと思いました。そこにある安心感は、精神をシンクロさせ、同じ時間の中をいっしょに泳ぐ森川さんの歌をゆったりとした波で包んでくれるのではないか。そんな風に考えました。

 

とてもうまくいきました。というか、、、これも、また、うまくいっちゃいました。

 

録音時間は、ほんの20分ほどでした。そもそも、曲が4分程度ですから、極端なことをいえば、条件がそろえば、4分で録音は完了します。この曲は、そんな1曲でした。

 

こういうちょっとした遊び心があるアプローチは、とても楽しく、新鮮な演奏と歌が生まれました。

 

河野さんは、自分の参加しない曲をながめてから、余裕ももってスタジオを後にしました。

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8月のシクラメン

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窓際においてあるシクラメン、光が当たりとても綺麗です。

 

シクラメンって冬の花だから、お正月にあるといいなと昨年12月の暮に購入しました。開花時期は通常10月から4月までです。

 

このシクラメンは、我が家が気に入ったようで、5、6、月と咲いて、こんなことってあるんだなと思っていました。

 

今は8月も後半にさしかかろうとしています。そろそろ終わりかな?と思うのですが、、、、

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よぉーく見ると・・・・

 

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このクルンとしているのが、新しい花になります。まだ、まだやる気です。不思議に思い、調べてみますと、シクラメンは品種により、夏咲き、秋咲き、冬咲き、といろいろとあるようです。

 

しかし、12月の暮に購入したときに、まちがいなく、とても綺麗に満開でありました。もう8ヶ月、咲き続けて、さらに次の花も出てきています。

 

いったい、どこまで咲くのでしょうか?

 

とくに、なんのオチもないお話です。ただ、とても綺麗です。

 

生命力を感じます。しかし、お水と光だけでこんなに綺麗に咲き続けていて、大丈夫なのでしょうか?すこしお休みも必要なのではないだろうか?と心配になります。

 

人間は勝手なもので、綺麗でうれしくて、喜んでいたのに、なにか通常とちがうことが起こると、心配になったりします。

 

いつまで咲き続けるのかな?

また、報告いたします。

 

 

「忙しい」って何?

「忙しい」って何?

 

今、書いてみて、そうかと思い出したけど、りっしんべん に 亡くなると書くわけですね。こういう文字の成り立ちというのは、立派なものだなと思います。

 

りっしんべんは立心偏

「心」が立った形のつくりですから「心」のことですね。

 

その「心」を亡くす=失うわけですから、ここから考えれば、その意味を思いつきます。

 

何か一つのことに集中しているときのこと=その事に心を奪われている状態

 

仕事もそうだし、ゲームもそうだし、恋なんていうのも、その状態でしょう。頭の中は、そのことでいっぱいです。「忙しい」のです。

 

問題は、多項目のことを平行して作業することがとても大変であるということです。しかし、仕事なんてものは、時間軸にたいしてだいたいが重なるものです。

 

平均的に、まんべんなく重ならないでできれば、とてもいいのですが、そうもいきません。

 

<レコーディング>

・作品の決定 何曲レコーディングするのか?

・どんな形式で、いつリリースするのか?

・CDであればディストリビュートの決定

・企画内容説明書の制作

・レコーディングからマスター納品までのスケジュール計画

・編曲の方向性と録音の方向性、アレンジャー、ミュージシャンの人選

・歌手のスケジュール調整

・ミュージシャンのスケジュール調整

・レコーディング内容におけるスタジオ調整

・エンジニアの人選とスケジュール

・スタジオスケジュール

・プレス工場の決定

・プレス枚数の決定、納品時期と納品場所の指定

 

<CDのジャケット>

・撮影〜デザイン〜入稿〜色校正確認〜校了までのスケジュール

・ジャケットイメージの決定〜カメラマンの手配、デザイナーの手配

・パッケージの形式の決定

→ 歌詞カードは何ページ? 紙質は? 何色での印刷か?

・印刷会社の決定

・写真撮影の実行

→ アーティストのスケジュール、スタイリスト、ヘアメイクの手配

 撮影スタジオもしくは、ロケの場合は、移動方法、お弁当の手配

 ロケで雨の場合のバックアップ体制

 

と思いつくだけで、この程度はあり、さらに、それぞれの項目の下に考えるべきことが無数にあします。

 

お弁当であれば、その日に来る人の人数とか、食べられない食材はあるのか?とか、季節によっては、生ものは避けようとか、飲み物は?ケータリング、水、お茶、コーヒー、お菓子、軽食の用意とか、、、

 

ひとつの項目に、さらない細分化したことが全項目に出てきます。

 

これは1アーディストについてのことで、これを平行して複数うごかしていくとなると、はてさて、頭の中はどうなることでしょうか?

 

「忙しい」は常に頭の中で起こっているわけです。

 

今日は東京、明日は、九州、明後日は北海道のような人のことを「忙しい」と思いがちですが、本当の意味は移動や行動の問題ではなく、頭の中のことです。

このことを理解しているかどうかで「忙しい」に対しての対処の仕方が変わってきます。

 

「忙」という漢字は、そのことを伝えてくれていました。

 

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「風をあつめて」Crazy Director Recording Diary 07

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映像監督の翁長さんは、このトリオでのバンド演奏と森川さんの歌という「熱視線」に触発されて、おもしろいアングルでの撮影をやってくれました。

 

ぼくはこういう瞬間に「幸せ」を感じます。

 

人は1人では、なにもできません。へんな言いかたですが、僕が自信をもって自分のことを優秀であると断言できることがあります。

 

たとえば、森川さんの歌唱力

たとえば、ミュージシャンの演奏力

たとえば、エンジニアの音楽力

そして映像監督の愛情の視点からうまれる映像の力

作詞家松井五郎さん×作曲家としての玉置浩二さんの作品力

これらすべてみなさんから「力」をお借りすることが出来たこと。

そして今、ここで録音をさせていただけること。

 

100% 他力本願です。

 

人の力を集める〜お借りする〜いただく。これがとても大切なことです。みなさまの才能、そしてパワーをを集めることができたことに心から感謝いたします。

 

僕自身はなにもいたしません。

 

「何も引かない、何も足さない」・・・美味しいシングルモルトのために、綺麗な水が集まるところでレコーディングするだけです。

 

お昼すぎに、このPV収録は終了しました。

音もすごかったけど、このPV撮影もすばらしかったです。

楽しすぎます。


さて、ここまででドラムの関さんはおつかれさまでした。

タイミングよく、ここで今度はパーカッションの竹本一匹さんが登場しましたが、パーカッションをセッティングするまえに、まず1曲録音しちゃいましょう。

 

クレイジーディレクターの意向により、ベースの河野さんにガットギターを弾いてもらうことにしました。

バンマスの存在の安心感を背景に、ギターとピアノでの素朴な曲を、わざわざ河野さんに弾いてとリクエストいたしました。

 

12:30 〜 「あなたへ」

 

ほんの20分で、歌もふくめて録音は終了しました。

そもそも、楽曲というのは4分前後です。

シンプルに言えば、その楽曲の時間で録音は完了します。

さすがに4分とはいきませんが、スムーズにいくってこういうことです。

はやく終わるくらいの録音のほうが、だいたいいいものです。

なにも、悩まない。

 

もともと本職ではない、それもガットギターなどを弾いてもらったわけですが、2回録音しただけでしたが、、、2回目をOKにして、プレイバックを聴いてみました。

 

ディレクター:演奏、どうですか?

 

・・・と聞きましたところ、これまたシンプルな答えがもどってきました。

 

河野さん:どうですか?

 

ディレクター:ぼくは、何も直さなくても、このままで良いとおもいます。

 

河野さん:良かった。これ以上のプレイはできませんので。

 

意味のない言い訳もなにもない。シンプルだし、何と言っても、きっぱりしていて、かっこいいな。さすがです。

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「アルバムの世界を生んだトリオ」Crazy Director Recording Diary 06

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Miho Morikawa   「another Face ~ Goro Matsui + Koji Tamaki ~」
森川さんのレコーディング2日目

 

前日1日目に、ドラムの入っている曲が5曲も録音できてしまいました。今回のアルバムでのドラムの出番は終わったので、昨日、撤収してもいい状態となりましたが、ドラムの関さんのスケジュールは最初から2daysとってありました。

 

ということで、2日目は朝から思う存分、Promotion Video収録をしましょうということにしました。

 

11:00~ 「Truth」「熱視線」・・・両曲ともDrums Bass Pianoでのトリオです。

 

PVに協力してほしいという話を関さんに言ったときに、返ってきた言葉は「Truth ・・・あれ、やりましょうよ。今回のアルバムの中で、この曲は、森川さんの今を表すのに、とてもいい曲だと思いました」・・・と、とても積極的な意見をいただきました。

 

この話をしていたときに、この曲は必ず撮影しようと思いました。だいたい、こういう意見が、ミュージシャンサイドからいただけることは、この上なくありがたい話です。森川チームのこのレコーディングは、完全なバンドです。

 

「バンド」とは、一つの単位です。

ある意味の「制限」でもあります。

 

この「制限」というのは面白くて今回のレコーディング意識している「引き算」の意味もここにもあります。

 

編成を減らすことによって、一人一人の守備範囲は広くなります。野球でいえば、外野を一人で守ったりするわけです。しかしその分「自由」は増えます。

 

おもしろいですね。この人たち、守備範囲を平気で広げられるから、へんてこりんというか、たいへん特徴のあるサウンドも生み出すことができます。

 

もしもスタッフとして困ることがあるとしたら、この演奏者にはトラ(代役)が立てられないことです。しかし、ぼくらののぞみは、その人しか出来ない特徴のある演奏がほしいのです。このトリオには、森川も背筋をぞくぞくさせながら、挑んでいました。その様子が、歌声からわかります。

 

「Truth」


今回のアルバムで唯一、パク・ヨンハさんが歌われている曲です。とても魅力的な声で、せつなく歌い上げられている作品です。この「せつなさ」を大切にうけとるために、森川はもちろん、ドラムの関さんは、ブラシでアプローチをしていました。この思い入れが、PVにも現れていると思います。

 

「熱視線」


クレイジーディレクターが妄想しつづけた結果、どうしてもこのトリオでやりたいと、ついポロリと口にしてしまった。そのアイデアをまわりにいた全員が受け止めてくれました。まさしく「制限」を最大限に生かした結果として、このようなサウンドが出来上がりました。これは「すごい」の一言です。これを映像化しないわけには行きません。

 

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「感謝」 Crazy Director Recording Diary 05

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8/13 朝9時からのセッティングから、順調なスタート、そしてトラブル、とらぶるを乗り越え、PV撮影〜さらに録音はつづきます。

 

運が悪いときには、レコーディングは調律師がくるまですべてがストップというケースでした。野﨑さんがどうやって演奏したのかはわかりませんが、あそこで、1曲録音できてしまったことは、この日の進行を大変潤滑にいかせる原動力となりました。



18:30 ~ 「Truth」


今回のレコーディング背景にある思想は「引き算」です。ここからは Piano Bass Drums の3Rhythm+森川Voとなります。

 

森川さんの声はどんどんよくなってきました。森川さんは、歌う日は、朝食を食べたあとは、歌い終わるまで何も食べません。

胃になにかが入っていると、横隔膜の動きが鈍くなって空気の取り込みがイマイチになるそうです。歌のパフォーマンスをキープするために、食事はしません。

 

この曲も、練習をふくめて3テイク録音し、その最終テイクを採用。歌はどのテイクでもよかったのですが、演奏と同時にとれているものがよいので、そのまま歌も採用することにしました。



19:30 ~ 「熱視線」


そろそろ、スタッフも、メンバーも、ふらふらしてきました。

 

いつのまにか、みんな年寄りになりました。スタッフは朝9時入りでしたし、老体でもあり、へろへろになってきました。

 

最年長は、エンジニアさんが72歳です。それで、クレイジーディレクターは来月還暦です。ヘトヘトでございます。


ぼくらから見れば若いとはいえ、ミュージシャンのみなさんも、これだけ演奏がつづけばボーッとなってきます。ドラムの関さんも、胃に食事をいれちゃうと、リズムに対する集中力が落ちるということで、食べません。

 

さぁ、あと1曲でドラムも終了です。今回のレコーディングは、このトリオをイメージしてスタートしました。去年から僕の中に、この3人のイメージが膨らんでいて、それを3月のブルースアレイでやってみて、確信となり、今回のレコーディングとなりました。


「熱視線」をトリオでレコーディングするなんてクレイジーな発想は、なかなか勇気がいるものです。

 

この「クレイジー」・・・は反省をこめた自慢です。

 

こういう過激な発想が大好きで、これは本日のメインイベントです。激しい演奏なので、やっても2回しか集中できないでしょう。この頭がぼーっと行っちゃった状態で、この曲という、なんともクレイジーで最高な瞬間です。

 

全員が燃え尽きました。2テイク目をいただきすべてを終了。鉄の女、森川の歌も最高の状態ですべてを終了しました。


少しだけ余韻を楽しみ、翌日も朝からなので、20時過ぎには、みんな早々に帰ってもらいました。スタッフは、この日録音した音源の整理などして、21:30頃には終了。

 

スタジオのアシスタントスタッフは、ここから片付けをしてたぶん23時頃になったでしょう。
 
<1日目の成果>
「悲しみにさよなら」・・・オケ完パケ 歌は録れていません。


「好きさ」・・・・オケ完パケ 歌もOK


「じれったい」・・オケ完パケ 歌もOK


「Truth」・・・・オケ完パケ 歌もOK


「熱視線」・・・・オケ完パケ 歌もOK


「じれったい」・・・Promotion Video 素材撮影完了

 

1日で、5曲の録音が完了しました。さらにPVです。ワオ。

このスタジオにいるミュージシャン、スタッフ、見学にいらしたファン、ほか、すべての方々に感謝いたします。長いようで、エキサイティングな1日目の録音でした。

「怪我の功名〜Lucky & Happy〜」Crazy Director Recording Diary 04

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ピアノの野﨑さんの超絶テクニックにより、トラブルを乗り切りながら「じれったい」の録音は完了しました。そのタイミングで、ピアノの調律師がもどってきてくれました。

 

すべてがうまく回り始めると感じた瞬間でした。ぼくらにとって「時間」というのは大変貴重なものです。そして、そこには、確実に「流れ」というものが存在しています。

 

高校野球でも、ちょっとしたことで、くずれてしまったり、また逆に、勢いがついて一気に10点もとることだってあります。これは、視点のもんだいで、同時に起こっている事実でもあります。一方からみたら、勢いであり、一方からみればズタズタに崩れている瞬間です。

 

さて、ぼくらのレコーディングは、悪く転ぶ可能性もありました。しかし、そこをピアノの野﨑さんのポジティブ思考で、トラブルさえもおもしろがるくらいの気持ちをもって乗り越えてしまいました。この録音もとてもいいものになりました。

 

そして、そのタイミングで、ピアノの調律師さんがきました。このタイミング、この時間、というのがベストタイミングでした。

 

実は、ピアノの調律コンディションが、ちょうど高音部のチューニングがすこしくるって来ているなと感じている頃でした。ハンマーの修理のために再度、調律師さんが来たときには、次の曲では、高音部の音程が気になってきて、生ピアノをつかうかどうか?わからないなと、思っていたときに、修理にやってきたわけです。

 

トラブルを乗り越えて、ピアノのハンマーの修理とともに、もちろん再度調律をしてもらいます。これにより、ピアノはまた一番いい状態へともどりました。そして、ピアニストとしても、安心して思い切りプレイができる環境が揃ったわけです。
 
順調にいくときって、すべていい方へとものごとが転がっていきます。どこか神がかっていますね。



16:30 ~ ピアノ修理タイム  



ディレクター:「おー、タイミング最高ですね。ここで、PV撮影しちゃいましょう!」


撮影用のセッティングに変えます。ドラムは録音がつづくからドラムを中心として、撮影用のセッティングを整えます。

 

今回のアイデアは、カメラ1台で編集なしの1カットで行う計画です。朝入ったときかから、森川さん&メンバーの立ち位置などは、映像監督に決めておいてもらいました。
監督の翁長さんは、RCサクセションのスチールカメラマンとしてそのキャリアをスタートして、映像へ、そして音楽現場のすばらしいドキュメンタリー映像を数多く制作してきた映像監督です。



17:00~ 「じれったい」 PV撮影


30分ほどで、撮影は終わりました。
ギターはここまでなので、片付けてもらい撤収。このまま、次のセッティングへと進みます。このタイミングで食事をとることにしました。

 

ここまでで、すでに3曲の録音と1曲のPV撮影が終了しました。


この日の録音予定ではドラムの入った曲は、ここまでの予定でしたが、演奏が非常にスムーズであったのと、このいいムードの流れを止めたくないと感じました。

このままドラムの入っている曲を続けて録音することにしました。撮影が終わった段階でちょうど、ピアノの修理が終了しました。すべてのタイミングが奇跡的ともおもえるほど、ぼくらの録音の味方をしてくれます。

 

この日は、湿度も高く、ピアノの高音の調律がずれて来ていました。なので、ピアノハンマーの修理とともに、調律も直してもらいました。まさに「怪我の功名」でした。

 

「トラブルを乗り越えろ」Crazy Director Recording Diary 03

さて、レコーディング初日でのトラブル発生からのお話のつづきであります。

トラブルはピアノのトラブルでした。ピアニストの野﨑さんが途中で演奏をやめて、困りながらも、全体のムードを下げないように、あかるくトラブルを報告してくれました。

 

野﨑さん:「あー、、ちょっとすみません。ちょっとすみません。あれ?、あのー。。。あのですね。。。どう言えばいいのかな?・・・ピアノのハンマーのフェルトがですね、、、ってか、ハンマーの動きかがぁ〜、、、えーっと、本来なら、こうなんなくちゃいけないのがぁ〜・・・・」


文章はむずかしいですね。
このシーンは、野﨑さんがジェスチャーつきで、ぼくらに説明しようという、体をはったアプローチに出て来きたのです。


「こうならなくちゃいけない」・・・を表したジェステャー
野﨑さんは自分のボウズ頭をハンマーに見立てて、ピアノの鍵盤を弾きながら頭を垂直に動かします。

 

これは正常にハンマーがピアノの弦を叩いている状態を表しているようです。



野﨑さん:「こうならないといけないのがぁ~・・・こうなっています!わかりますかぁ?」


「こうなっています!」・・・のジェスチャーの動きは、
中腰になって、あたまを上にあげながら、体を左右にふるわせながら鍵盤を叩いています。そして、その音には、へんなノイズが含まれています。。。。


これはハンマーが左右にズレながらピアノ弦を叩くので、ハンマーの芯で弦を叩けていない状態である、ゆえに、ノイズが発生しているという意味のようです。


エンジニアのとディレクターは、ピアノブースに入っていって、状態を確認します。


エンジニア:「今、ピアノの音、最高にいい状態なのに、残念だね。これじゃできないね。」


ディレクター:「スタジオさん、調律師さんを呼んでください。これじゃ録音できないんで。」


スタジオさん:「今連絡とったんですが、ホールにはいっちゃっていて、来るのが16:30~17:00くらいになっちゃいそうです。」


ディレクター:「しょうがないよね。」


野﨑さん:「えーっと、いや、なんとかなるかも。」


ディレクター:「どうすんの?」


野﨑さん:「えーっと、この、鍵盤をなるべく使わないコードの積みでアプローチしながら、使うときには、弾くときの力加減とかぁ・・・」


ディレクター:「そんなこと出来るんですか?」


野﨑さん:「無理かなぁ?・・・いや、でも、もしかしたら・・・やれるかも・・・」
そんなわけで、レコーディングを再開しました。

 

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30分ほど進行はストップしましたが、レコーディングを再開しました。信じられないことですが、まったく録音上では気にならないピアノの綺麗な音で録音が完了しました。森川さんの歌もばっちりで、これは、このまま確実に使える状態です。
 
強い声だなぁ。マーガレット・サッチャーは強硬な政治姿勢により「鉄の女」と言われたけど、森川さんもそんなイメージです。振り向かない、前しか見ない、目標に一直線、強行突破型です。かっこいい。


コントロールルームで「じれったい」の録音確認のために、プレイバックしているところに、調律師がもどってきてくれました。
 

タイミングがいい、こういうトラブルさえも、すべて味方につけてしまう。こういうことってあるんですよね。すべてが上手くいく、そう確信しました。

「一寸先は闇だとさ」Crazy Director Recording Diary 02

この秋にリリースする森川美穂さんのアルバム
another Face  〜 tribute to Goro Matsui + Koji Tamaki 〜 のレコーディング日記

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12:30〜「悲しみにさよなら」

 

初日のレコーディングはこの曲からスタートしました。森川さんの声の調子がいまいちな状態ですが、気にせず進みましょう。

 

まずは演奏を録音することが第一です。いい状態のオケが録音できなければ、いい作品にはなりません。まずは演奏です。

 

このメンバー(drums 関慶和 bass 河野充生 piano野﨑洋一 guitar 宍倉聖悟)は、大変安定感があり、そして行くときにはいく、スリリングな感覚も持ち合わせています。2016年の秋から森川さんの演奏をしてもらっていますが、ライブやレコーディングで回を重ねるごとに、歯車は噛み合っていき、このgrooveは目には見えませんが、みなさんの心をつかんでくれることだろうと信じています。とてもすばらしいチームになってきた今、このすばらしい作品群を収録できることに、とても幸せを感じます。

 

この日は4曲録音する計画を立てています。その上、Promotion Videoの撮影も入れるという、一般的には、無理 無理 無理・・と言われるような、クレイジーな計画です。
 
練習がてら2回演奏しました。
録音した音をコントロールルームに来てチェックし、演奏上の細かい確認をします。
キックとベースのグルーヴの確認、ピアノ、ギターのアプローチの確認などを行い、本録音へと進みます。


2テイク続けて録音し、2テイク目を採用しました。所要時間90分ほど。順調なスタートと言えます。


森川さんの声は、まだ調子はでてきません。そのまま次の曲へいきましょう。



14:00〜 「好きさ」


1曲目とほぼ同じ工程ですすんでいきました。
あれ? なんか、歌のかんじはよくなってきた。これ、このまま使えちゃうかも。声質はまだまだ本調子ではないけど、大切なのは「感じる」歌かどうかです。これは、いけるかも。


この曲も2テイク録音して、2テイク目を採用しました。歌もこのままでいい。「声、出て来たね」と、森川さんに伝えて、そのまま次へ進みます。

 



15:00 〜 「じれったい」


まずは、練習をしました。

・・・あれ? ピアノの野﨑さんが、なんか変です。。。トラブル発生のようです。
 
野﨑:「あー、、ちょっとすみません。ちょっとすみません。あれ?、あのー。。。あのですね。。。どう言えばいいのかな?・・・ピアノのハンマーのフェルトがですね、、、ってか、ハンマーの動きかがぁ〜、、、えーっと、本来なら、こうなんなくちゃいけないのがぁ〜・・・・」
 
うーん、初日からピアノトラブルかぁ。。。ピアノの音の状態は最高です。しかし、ノイズが出ていました。これでは、レコーディングができません。一旦、中断するかしかないかもしれないと思いました。
 
ここでストップすると、トータルのスケジュールがうまくいかなくなります。森川さんのスケジュールもですが、ミュージシャン、スタジオ、エンジニア、全員がそろうところなど、ほとんどありません。。。
 
つづく

 

 

「レコーディングスタート」Crazy Director Recording Diary 01

Miho Morikawa   「another Face ~ Goro Matsui + Koji Tamaki ~」

8/13から今年の森川さんのアルバムのレコーディングがはじまりました。
2016年の11月のライブからはじまったライブメンバーで培ってきたサウンドが、すごい威力でマスターに録音・定着されました。

 

ライブもレコーディングも毎年、回を追うごとに面白くなってきます。まずは、8/13のレコーディングの模様をおとどけします。

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初日というのは、セッティングに時間がかかります。
楽器がはいり、セットして、そこに録音のためのマイクをセットしていきます。マイク1本ずつをヘッドアンプにつなぎ、そこで音量調整をして録音側と、モニター側に分配し、音を調整していきます。

 

09:00  スタッフはスタジオに集合し録音の準備にとりかかりました。


10:00  ミュージシャン入り〜楽器セッティング


11:30  サウンドチェックがはじまります。スタートは4Rhythmの編成です。
    この頃、森川さんがスタジオ入りしました。

 

12:30  「悲しみにさよなら」

Drums 関慶和 Bass 河野充生 Piano野﨑洋一 Guitar宍倉聖悟このメンバーでレコーディングスタートです。

 

今回のレコーディングは「引き算」を意識しました。基本的には、この4名のサウンドで、一筆書きで行います。

 

ギターがソロを弾けば、バッキングからは抜けます。ライブでは当たり前ですが、普通、レコーディングでは、ベーシックとしてバッキングを通して、ソロは別に演奏します。

 

今回はクレイジーディレクターの意向により、なるべく一筆書きのように、ライブアプローチでレコーディングすることになりました。ミュージシャンにも、プレッシャーがかかりますが、その緊張感をそのままパッケージしたいという考え方でスタートしました。

ボーカリストにとっては、とても大きな負荷がかかります。コンサートのように、歌が中心ではありません。まずは、演奏を録音することが重要なミッションです。

 

なので、歌ったり休んだりの繰り返しの中で、森川さんの歌も録音していきます。歌手にとっては、非常にリスキーな状態です。

 

ベストは、全員「せーの」で録音した、その歌のテイクをそのまま使うことです。ようするにスタジオライブ録音ということがベストであるという考え方で今回は、レコーディングに入りました。

 

まずは、アレンジの確認をしながらリハーサルです。森川さんも一緒に歌うわけですが、どうも声の状態はあまりよくありません。日々、タイトなスケジュールですから、こんなこともあるでしょう。1曲目は、まだ体があったまっていないし、声が出ていない。声質もなめらかさに欠けます。

 

この曲は、演奏だけを意識して録音し、すぐ次にいこうと思い歌をきにするのはやめました。ぼくが声を気にしても、よくなるわけではありません。今やるべきことは、演奏を収録することです。

 

2年前、このスタジオでレコーディングしていたときに、やはり森川さんは疲れのピークでした。声の状態がよくなかった。その時のことが頭によぎりました。今回も、苦難の船出かもしれません。さて、この日からのレコーディングは、どのようなことになるのでしょうか?

 

深刻に考えても、状況はかわりません。森川さんのことです。やっているうちに、声は出てくるだろうと思い、全員でレコーディングを楽しみながらすすめようと思いました。

 

1曲目「悲しみにさよなら」のレコーディングがスタートしました。

 

つづく

 

 

 

「時空」を共有する音楽

いわゆる「せーの」で、一発録音にかけるレコーディングがはじまりました。

ミュージシャンたちがスタジオでライブをするように演奏し、歌手はその場で歌います。ようするに、お客さん不在のスタジオライブレコーディングです。

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90年代中盤くらいまでは、当たり前のように行われていた普通のレコーディングですが、近年では、サンプリングをつかって、アレンジャーやミュージシャンたちが自宅スタジオでサウンドをつくりあげて、ファイルにして、それを交換しながら、一人一人が自分の演奏を録音してく、、、そんなレコーディングスタイルが主流となりました。

 

言葉で書いても、なんだか、ピンときませんね。

とにかくこのような「せーの」のレコーディングは、とても贅沢な部類にはいるレコーディングになりました。

 

ライブを考えればわかりやすいのですが、歌手、ミュージシャン、そしてお客さまも全員、その場で「時間と空間」を共有します。それが「音楽」では一番大切なことなのだろうと思います。

 

たとえば、ボサノヴァでウィスパーで歌うとします。歌のアプローチがウィスパーであれば、ドラムが思いっきりスネアを叩くことはしないでしょう。もっとやさしく、リムショットでのアプローチとか、ブラシで細かいビートを感じさせながらソフトに時間を包むようにアプローチしたりとか。

その場に一緒にいて、相手に反応することで、自分のアプローチが決まります。

 

自分だけで勝手な行動にはでません。インタープレイが大切なのです。そのためには、時間と空間を共有することが必要になります。

 

最近のレコーディングは、時間も別、空間も別、そんな環境でレコーディングすることがとても多いのです。だからこそ、時空を意識するということが、より大切になったります。

 

ピアニストも、ドラムも、ベースも、歌手を中心に、作品をどう作り上げていくか、イメージを共有し、相手のプレイに相互に反応しあいながら、時間を泳いでいきます。

 

音楽は、なかなか一人では出来上がらない芸術です。歌があっても、演奏をしてもらう人が必要だったり、弾き語りでも、録音してくれる人が必要だったり、常に、複数の人がそこにいるケースが多いのです。

 

その上、作品を聴くことも、演奏することも、歌うことも、すべて時間軸上でおこなわれます。絵画は制作には時間がかかりますが、見るのは一瞬です。しかし、音楽は、常に時間とともにあります。そしてサウンドの中に、空間も表現されています。

 

録音はとても面白い現場です。人と人の化学反応のような現象があり、その反応には、さまざまな偶然が関係することさえあります。とてもスリリングな日々がしばらく続きます。

 

 

しあわせとすれ違った 〜記憶について-02〜

 記憶について考えていたら、思い出した。

2016年の8月の本栖湖での出来事です。

ちょうど今頃の風景です。

 

この子はどうしてるかな。

今週、とてもひさしぶりに孫たちとあう。

たのしみだ。記憶もやっぱり散歩する。

 

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2016年8月の本栖湖

 

2才、3才、そしてお腹の中には3人目という若い夫婦。女の子がぐずり始めた、抱っこしてほしいのかな。そう思いながら、すれちがった。

 

僕は湖をぼーっと眺めていた。

しばらくして振り返ったら、女の子は1人でしゃがみこみ、意地をはっていた。

 

両親は、お兄ちゃんとずっと先を歩いている。

 

僕は戻りがけに、女の子をゆっくり追い越しながら、

少し距離をとって

 

「よしっ、立ち上がれ!ほら、パパとママがまってるよ。」・・・って、声をかけながら応援のためのガッツポーズをつくった。

 

見知らぬ誰かの声がタイミングよく背中を押した。

「よし、いいぞ!」

みんなが待ってるよ。

ゆっくり、ゆっくりで大丈夫。

一歩づつ歩けば、パパとママのところに到着するよ!

 

夫婦は心配そうに眺めて、軽くお辞儀をして挨拶してくれた。

チビちゃんは、がんばった。

お兄ちゃんは、走って妹を迎えに来た。

 

通りすがりの役割を果たしたぼくは、バイバイと手を振った。

女の子はバイバイと手を振りかえしてくれた。

そして、小さな唇が「アリガト」と動いた。

 

 

 

 

記憶について

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あの日の夕焼けが忘れられない。

あの一言が忘れられない。

 

今さっき、言ったばかりでしょう?

ちゃんと聞いているの?

 

日々、ぼくらは記憶の中で生きている。

記憶という機能が失われたら、

そもそも、自分という概念さえわからなくなるだろう。

アイデンティティなんていうのも、

自分というスタイルをつくりあげて

そのスタイルの継続だから、記憶で形成されていくのだろう。

 

たまに自分のスタイルっていうのは、じゃまに感じることもある。

ぶち壊したくなることもあるけど、だいたいは

スタイルの中にくるまってすごしてしまう。

 

ずいぶん前の話ですが、NHKスペシャルだったかな?

そんなタイプのテレビ番組で「記憶」についてやっていた。

あまりにもぼくにとって強烈だったから、よく覚えている。

 

その取材対象の人は、脳の手術によって

完全に短期記憶を失ってしまった人だった。

 

ぼくも、たまにある話ですが、、、、

冷蔵庫から何かをとり出したいと思って台所に行く

その時に、電話がかかってきて誰かと話をする

電話をきる・・・・あれ?・・・・

台所に何しに来たんだっけな?

何かを思ってきたのに、わからない

 

短期記憶の消失です。

 

このテレビの主人公は、、、、

たとえば電話でおばさんと話をします。

おばさんの家へ行く約束をします。

次の瞬間、その約束は忘れます。

 

料理をしようとします。

作るものを決める。

タマネギ、ピーマン、etc. 素材を用意する。

次の瞬間、何を作ろうとしていたのか忘れる。

 

今、目の前に展開されている野菜は、

何のためにあるのか?

わかりません。

 

だから、毎日、メモが命綱です。

たとえば、電車にのっても、どこに向かっているのか?

すぐわからなくなります。

 

メモをみる。

ぼくはおばさんの家へ向かおうとしているとメモに書いてある。

そうか、ぼくはおばさんの家へ行くのだ。

だから電車にのったんだな。

 

何のためかはわからない。

メモをみる。

そうか、ぼくは、こういう理由で

おばさんの家に行こうとしているのだ。

 

メモは、彼の切り取られた脳であり、記憶装置なのだ。

 

しかし、この人は小さいころの記憶はのこっている。

どうも、脳の場所によって、短期記憶をあつかう場所

そして長期記憶を扱う場所はちがうらしい。

 

人間は本当によくできている。

奇跡的です。

これは、きっと人間だけでなく、万物が奇跡的なのでしょう。

そう思うと、神様がいるのかもしれないということになるのでしょう。

神様がいるのか?神様は人間の発想のアイデアなのか?

こればかりは、わかりません。

 

「記憶」ということを一つ考えても

動物に授けられた機能はすばらしい。

 

きっと最初の記憶は母親であることがほとんどでしょう。

卵から生まれたヒナは、最初にみたものを親だと思うらしい。

そんなことも、別の番組で見たことがある。

生命の仕組みはどんなふうなプログラムが施されているのでしょう。

 

人の顔、友達、歴史、計算式、円周率、覚えた方が便利なことは

どこから、どこまでなのでしょう?

円周率は覚えなくてもいいかもしれないけど、

ゆとり教育での、円周率「3」はやばいだろう。

 

記憶の中で強力なのは、憎しみだろう。

たとえば「忠臣蔵」

仇討ちの根っこは、憎しみでしょう。

ところが、これはとても人気があって、みんな大好きです。

 

感情を揺り動かす「記憶」は長期記憶にはいりやすいことは事実です。

しかし「憎しみ」はやっかいです。

 

「記憶」を平和利用するためには「忘れること」も必要なのかもしれません。

これを手放すためにはどうすればいいのでしょうか?

 

世界にはほとんどない手法ですが、、、

「水に流す」

日本のこれは、かなり高度な文明ではないかと思います。

 

ぼくらには、やれることがたくさんあるのかもしれません。

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「才能」について

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長年、音楽業界に身を置いてきましたので、さまざまな歌手を身近で見てきました。いつも、声がいいな、歌がうまいな、才能があるな・・・とか、客観的に見てきましたが、この客観性とは、ファン目線、お客様目線と同じであります。

 

徐々に視線は変化していく部分もありますが、それは、経験をつみ、意識をすることで分析していく範囲が生まれるだけです。この一般のお客様目線は・・・もちろん、統一したものではありません・・・自分の中にある感覚という風に言い換えてもいいかもしれません。この部分は、ディレクションをおこなうにあたり、とても大切なことだといつも感じています。

 

ある日、気がついたことがあります。特定の人物に限定することでもないので、一般論として書いてみます。

 

「才能がある」人は、あまり努力しない。

 

こんな法則を見つけました。

たとえば、歌が上手くて若くてかわいいとします。大人たちもみんなが褒めてくれます。そもそも、努力しなくても、腹式呼吸でのロングトーンは最初っから歌えるし、習う必要はありません。音程もいいし、メロディーだって、すぐ覚えられます。歌の先生についても、自分より下手だったりします。そして、人気がでてくると、鼻がのびていきます。

 

これはある一例ですが、こうなっちゃうと、たいへんもったいないことが起こってきます。

 

「努力しない」ことをどんどん覚えます。

 

上手いっていっても、ある程度まぁまぁ上手いという段階であることに気がつきません。しかし、努力、研究、練習、反復、反省、研究、改善、練習、・・・という一連の努力のループは作れません。そうすると、歌がうまいね・・・という、ある一定の段階で実力はストップします。

 

こういうケースはもったいないなーって思います。
ぼくがスタッフの場合は、あの手この手でアプローチします。ぼくはしつこい方なので、諦めずに、言い続けるわけですが、これがけっこういやがられます。まぁ、それでも、言い続けるわけです。やめません。

 

時間はかかるのですが、あきらめると、それはぼくの中では、相手を裏切ることになってしまいます。担当する歌手を良くしていく努力をぼくがやめてしまうことになるからです。

 

そうやって、諦めずにやっていると、本人に何らかの気づきが生まれる時期が到来します。その「気づき」は、誰か第三者の言葉だったり、尊敬するアーティストの言葉だったりします。それが感覚的に、ぼくが伝え続けていた内容につながったとき、いきなり信頼性が深まります。そして、もっと知りたいと聞いてきたりすることがあります。

 

そうなると、急速に成長がはじまります。まったく変わるのです。「受け入れる心」がある人に話をすると、どんどん吸収していきます。スポンジみたいです。

興味がない、聞く気がない、めんどくさい、うるさいなぁ・・・という「閉じた心」にいくら話をしても、言葉はつうじません。さすがに、こういう時には、ぼくも黙っています。

 

若い頃というのは、みなさん本当はもっと遊びたいのです。しかし忙しい。仕事以外に、歌の勉強をもっとするなんてできない、遊びたいんですから。そんな時期があっても当たり前ですし、遊んだっていいと思います。

しかしですね、そもそも、歌うことが好きでそのポジションについたのなら、もっとやればいいのになーって、つい思っちゃうんです。組織の中にはいったらもちろん、いろいろな制約があります。ぼくも、会社にいたときには、さまざまな制約の中で動いていましたし、やりたくないことも、ばからしいと思ってしまうことも、たくさんあったわけです。それは、年齢に関係なく、若い頃は、もっとそう思ってしまうことはあるでしょうね。

 

だからこそ、最初にやりたかったことを忘れてはいけないのだろうと思います。
「いい歌をうたいたい」と思ってはじめた歌なら「いい歌」とは何か?を探求しないとなりません。自分にとっての「いい歌」とは何か?それを言語化できなければ、努力する方法もわからないでしょう。
「人を感動させる歌を歌いたい」と思ったら、「感動する歌唱」とはどんなパフォーマンスなのか?を自分でわからないと、そこには到達できません。


努力しないで、できている人は、あるところまでは、すぐ行けます。それは、トーナメントでいえばシードみたいなことで、2回戦から出てこれるだけでう。ようするに、まわりは努力して勝ち抜いてきた人たちです。その中に入っていくことになります。

この「もったいない」現象を断ち切る、簡単な方法があります。心のも持ち方を意識することです。「礼儀」「挨拶」「謙虚」この程度でも、心の中においておけばいいと思います。

 

年をとると、少しはわかってきます。わかった時が遅くとも、迷うことなくすぐにその瞬間からはじめればいいだけです。

生まれたときから考えれば、常に「今」は人生で一番年寄りです。そして、死から振り返ってみれば「今」は常に人生の中で一番若いのです。