思考の散歩道

散歩好き音楽ディレクターの日記

「ウードとの出会い」Crazy Director Recording Diary 09

Miho Morikawa   「another Face ~ Goro Matsui + Koji Tamaki ~」
クレイジーディレクターのレコーディング日記

森川さんのレコーディング2日目

 

f:id:groovyandwonderful:20190825223500j:plain

8月14日 13時30分・・・ここまでの2時間半で、

「Truth」・・・PV撮影
「熱視線」・・・PV撮影
「あなたに」・・・オケ+歌もふくめて20分で録音完了

 

この日の自慢話をまとめてみると、このような流れとなっております。

 

お待ちいただいていた一匹さんには、ここからパーカッションのセッティングとなります。楽器セッティングしてもらいながら、そこにマイクをセットしていきます。

Percussionと一言でくくっておりますが、、、名前も知らない楽器もふくめて、とてもたくさんあります。様々な演奏方法が違う楽器をたくさん扱う演奏者が、パーカッショニストです。

 

この演奏方法が違う楽器を扱うという意味は本当に大変なことです。
ベーシストがギターを弾くのも本来は大変でしょう。河野さんの場合、たまたま出来るわけですが、しかしこれが早いパッセージの曲となると、レコーディングで対応することはできないでしょう。

 

そういう意味では、パーカッショニストというのは、スーパーマンみたいな人です。あんなことや、こんなこと、そして新聞記者をやりながら空を飛んでいって正義の味方になり、人知れず人類を助ける・・・そんなところがあります。


13:40  

もろもろセッティングをしているところに、ウードの常味さんがやってきました。


常味「いやぁ、すみません。高速の事故渋滞にはまっちゃって・・・」

 

西嶋「いいのいいの、ちょうどよかったから」

 

ぼくは、内心、どうせまたすぐ出来ちゃうだろうから、ゆっくりでいいから、、、と思っていました。

 

ところが、過信は禁物でございます。

 

いつどこで、どんな展開があるのか?人生も、レコーディングもわからないものです。

 

大幅なセッティング変更なので、マイクセッティング、サウンドチェックにそこそこ時間がかかりました。

 

14:50~ 「月に濡れたふたり」


バンドはトリオ編成・・・ウード、ピアノ、パーカッション 

 

ウード(oud)という楽器は、アラビア楽器でギターの原型とも言われている楽器です。リュートや、日本で言えば琵琶のような楽器です。

 

弦は6コース11弦あります。一番太い弦が1本で、あとの5コースは、12弦ギターのように2本づつ弦がはってあります。たいへん、音のクセが強い楽器です。

 

実は、この常味裕司さん、不肖西嶋の高校時代のバンド「イエローフィーヴァー」でのぼくの相棒のギターでした。ぼくが17歳、常味さんが16歳です。

 

常味さんはこの頃から、異常にセンスがよく、こいつにギターはかなわないなと思っていました。ぼくの才能は、自分ふくめて客観的に音を聞く力があったことだと思います。ぼくは下手で、常味は上手だといつも思っていました。

 

その後、ぼくが25才くらいの頃だと思います。井の頭線のホームですれちがったときに、常味はどこかの高校の先生で、寮長をやっているみたいなことをすれ違いざまに言っていました。ぼくは妻と一緒にいて紹介しようかなって思ったけど、電車が発車する間際で「じゃ、また」みたいになって、紹介しませんでした。たぶん、ぼくが結婚直前くらだったから35年前の話です。

 

時はまたあっという間に25年が過ぎていきました。ちょうど10年ほど前、当時のバンドの仲間のベースやドラムとあったときに、常味はどうしているか?という話になりました。その会話の中で「あいつは、ウードという楽器の奏者でプロでやってるよ」という情報をもらいました。

 

ぼくはレコーディングの世界で、当時すでに25年をディレクターとして過ごしてきていましたが、特殊な楽器だったからか、彼の名前をきくことはありませんでした。

 

しかし、その場でウードと検索するだけで、すぐに常味裕司が出てきました。なんだか、有名な人みたいです。

 

会いたくなりました。
ホームページにメールしてみました。

 

それから、ほどなく彼から電話がかかってきました。
すぐに会おうということになり、彼の自宅にあそびにいきました。

 

部屋には楽器が3本おいてありました。

とても綺麗な楽器です。


ぼくは、1年先輩なものですから、えばって言いました。

西嶋「おい常味、ウードって聴いたことないから、ちょっと弾いてみてくれよ」

 

常味「あ、いいですよ。何弾こうかな・・・たとえば・・・」

 

・・・と、アラビア的な、シルクロード的な曲をゆっくりと弾き始めました。そこから、徐々に景色がかわっていくように、激しくなっていき、ドラマチックな展開へ、そして、また「静」の世界へと。


心にガツンと響き渡りました。

すごい。

 

西嶋「あの、常味さん、失礼しました。そんなに上手だったんですね。、、、つきまして、今度、因幡晃さんのライブがあるのですが、そこで、ゲストに出てくれませんか?」

・・・と、手のひらを返したように、その場ですぐにお願いしてしまいました。

 

・・・あぁ、森川さんのレコーディングから遠ざかっていく・・・まいったな・・・いつも、こうなんです。ぼくの思考はつい散歩に出かけてていくのです。

 

ま、そうやって、常味さんとの再会をはたし、因幡さんのライブにも、レコーディングにも参加してもらって、あれから、またもや時は過ぎまして、さらに10年が経ちました。

 

はい、もどってまいりました。
で、「月に濡れたふたり」でございます。

 

この曲を聴いたときに、すぐに、ウードの響きとこの曲の相性があうとピンときました。

 

それで、2年前の秋にブルースアレイのライブで弾いてもらいました。

 

思った通りの世界観でした。これを今回も使わせてもらおうと、キャスティングしました。

 

ところが、このレコーディング、そう簡単ではありませんでした。
思いもよらないことで、進行はストップしそうになりました。。。

 

余計な寄り道の文章があったため、今日の「月に濡れたふたり」レポートは書ききれませんでした。

 

つづく