思考の散歩道

散歩好き音楽ディレクターの日記

見えない音 vs 見えるデザイン+コトバ

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あるステレオのパンフレットに「原音を忠実に再生する・・・」と書かれていた。
コトバの機能には、意味を伝えるための伝達のための機能と、コトバ以上にイメージを広げる・・・これって素晴らしい、そんな気持ち良い世界が購入すれば、体験できるんだよーって、いうイメージを広げる、夢を広げるという機能があると思う。
 
sony / marantz / victor / pioneer / yamaha / audio-technica / panasonic / kenwood  etc. 色々なメーカーのブースがあって、眺めていた。ビジュアル、デザインとならんで、このコトバのアピールは人の心を動かす力がある。
 
デザインとコトバ、両刀を使って、目に見えない音のことを説明しようというわけです。そのうえ、音みたいに目に見えないものは、信じ込ませてしまえば、そのイメージは長く持続性をもちます。これがブランド力となるのでしょう。
 
ビジネスにおいて、これはとても大切な方法だろうとおもいます。あるコピーライターが、キャッチコピーとは「人と物(商品)の関係」を作り出す、気づかせることだ、みたいなことを言っていました。
それは、この商品を購入したら、きっと気持ちいい音が聴けるよ〜あなたの、毎日が豊かに潤いのある日々になる〜精神が解放され、あなたの自由な時間がそこにある〜etc.と、手に取ったあとに起こる自分の未来の生活の変化までもイメージさせることで、欲求を掻き立てます。
 
誰にもありますよね? 車を購入すると決めたとき、マンションを買うぞと決めたとき、もう買いたい気持ちが先にたつと、辞めたくなくなっちゃう状態になります。
そこに気持ちのスイッチを入れてしまえば、あとは、どこのメーカーのステレオにするか?そうなってくるわけです。恋愛の初期状態と似たような、この瞬間の気持ちの盛り上がりって楽しいですよね。
 
目に見えないものというのは、イメージや言葉で気持ちを引き込めれば、その気分だけで、音もかわって聞こえちゃいます。楽しい仲間たちとの自然の中で集い、バーベキューをして、酒を飲む・・・そんな時の、肉は、さほど高い肉でなくても、うまいものです。
音楽は目に見えないから、説明することも大変です。聴いて感じたことが全てです。だから、好き、嫌い、良い、悪い、の論議はあまり意味をなしません。少なくとも「基準」を定義してからはじめないと、議論にもならないのです。
 
ステレオを音で選ぶなら、いつも聴き慣れているお気に入りのアーティストの音源をなるべく同じ条件でかけてみて、この音が好きだなって思うものを選べばいいでしょう。部屋のインテリアとして考えるなら、デザインも含めて、何を優先順位とするか、選択基準、を考えて選びます。あら、また商品の選び方についての話になりましたが、これは選ぶときの考え方についてですね。
 
「原音を忠実に再生する」・・・これは、ウィスキーの山崎の宣伝の「何も足さない、何も引かない」というキャッチコピーと同じ意味なんだろうと思います。
 
「原音」という単語から広がる「純粋」「真実」「ありのまま」というイメージを広げたわけです。現実的には、すべてのステレオは「原音」を再生する装置ですから、effectしなければ、そのまま再生されます。もちろん、スピーカーやら、アンプやら、なんやらで音の質感がかわりますから、結局、聴いて好きなのを買う。これが一番だと思います。
 
昔は、真空管とかトランスとか、シールドとか、具体的な部品それぞれがもっている特性によって、さまざまな質感の音があったのですが、今は外見が違っても、中身につかわれている部品が単一化されてきているようですので、大きな差は生まれにくくなっているようです。PCで言えば、今やmacだってインテル入ってる(Intel Inside)です。
 
「原音を忠実に再生する」・・・このフレーズから考えられるいくつかのことを書こうと思っていただけなのに、思考は勝手に散歩をはじめます。横道にはいって、違う話になったりします。あしからず。