清安さんと彼岸花
妻が釈尼 清安さんになって、3回目の夏がきた。
8年もベッド上で動けずにすごしたのた。
よく頑張った。
やはり、出会いは不思議だ。
妻が倒れたのは2010年の2月だった。全身麻痺で、一般的には植物状態とかいわれていたけど、しっかりと生きた。
当たり前だけど、喪中ではないわけだから妻に来ていた年賀状をしらべて、年賀状で妻が倒れたことを知らせた。みんなびっくりしたことだろう。
団地に住んでいた頃の妻の友人がお見舞いにきた。それがきっかけで、息子はその頃砂場で一緒に遊んでいた、おさななじみと結婚した。
そして、今じゃ孫がふたりいる。
「縁」とは不思議だ。
妻が倒れていなければ、この二人は巡り合わなかったはずだ。そして、ぼくはこの孫たちふたりとも会うことはなかっただろうな。
妻はどたんばで、ファインプレーをした。
今度あったときには、その話をしてみたい。
君のおかげで、おもしろかったよ。
孫たちは元気者で、とくに下の女の子は、怪獣みたいだ。
ぼくは1時間ともたない。
すぐ気絶できるよ。
そのくらいすごい泣き方をする。
たぶん、空から眺めて笑ってるかもね。
少しは手伝ってほしいが、色々ルールもあるのだろう。
そっちへ行くことも楽しみのひとつだ。
いくつか、こっちでやらないといけないことがある。
それまで、この世をたのしませてもらうよ。
彼岸花もそろそろ咲き始めるだろう。