出会いという不思議
人との出会いというのは、本当に不思議なもので「縁」ということばが、しっくりとくるというか、他では説明がつかないことが多くあります。
他の言葉では説明がつきにくいので、一言で決着のつくこの「縁」という言葉を選ぶと、気持ちが楽になるのかもしれません。
真璃子さんという歌手がいます。1986年の元旦にデビューしたときに、その存在は、当時から知っていました。
当時、今井美樹さんのレコーディングを担当していたこともあり、頻繁にフォーライフレコードで打ち合わせをしていたため、フォーライフからデビューした真璃子の宣材や告知ポスターなどを、レコード会社の中でよく見かけました。
しかし、当時は、別会社の一社員である私と、とんねるずの所属事務所からデビューする新人歌手というだけで、それ以上の接点はありませんでした。
さらりと、33年ほど時間をとばします。
2018年の夏、森川美穂さんのレコーディングを日々、渋谷にあるスタジオで行なっていました。松井五郎さんにプロデュースしていただいた「female」というアルバムです。
全曲の編曲を山川恵津子さんにしていただいたアルバムです。そこで、山川さんから「真璃子ってしってます?」と訊かれ「はい、知っています。どんな歌手かまでは知りませんが、フォーライフからデビューした方ですよね?」
そんなたわいもない会話からこの「ご縁」ははじまりました。
2018年9月の末に、森川さんのライブを福岡でやりました。森川さんにとって25年ぶりの福岡でのライブでした。
そのライブにふらりと現れたのが真璃子さんでした。
「はじめましてー、真璃子です」
「はじめまして。山川さん、松井さんのお二人がプロデュースしたアルバムは聴かせていただいております」
たった、これだけのきっかけで、11月には、福岡で行われる真璃子さんのライブを見に行くことになり、話し合いをしまして、現在、真璃子さんのレコーディングも担当することになりました。
人と出会うことは、なんとも、不思議なものです。
「音楽」がとりもつ、そんな「縁」により、今、レコーディングをしています。
昔は、どうやったら売れるか?なんて、分析能力やマーケティング能力もさほどないくせに、余計なことを考えながら制作をしていました。別の言い方をすれば「言い訳」を考えながら、レコーディングしていたようなものです。
今は、どうしたら歌手の魅力をひきだせるのか?ということだけに的を絞ってレコーディングしています。
聴いてもらえた方々の心に、すっと自然に届く「歌」であるかどうか?
結局、これが一番大切だろうと、素直に作ることを心がけています。